地球ジャイロに込めた思い

2016年12月14日

 

まず初めに、地球ジャイロにご興味・ご関心をお寄せいただいた皆様とのご縁に心より感謝申し上げます。

今回作りたかったのは、地球ゴマの復刻版というわけではありません。それはおそらくタイガー商会の先代社長も望んではいなかったでしょう。彼は生前、後継者についてこう語っていました──「誰かやってくれる人があればいいなと思います。いいコマを残してほしいなと思います」(中京テレビの番組「WHY WHY?好奇心」1991年放送より)。
伝統を継承するにおいては、大正以来の旧態依然たる地球ゴマそのままを踏襲していては二番煎じ、モノ真似でしかありません。伝統あるもの(不易)と最先端技術(流行)をうまく融合させ、それにとって代わる新世代のジャイロスコープを打ち出してこそ、未来へ向けて「いいコマを残せる」と思います。
まして取り組む以上は、オモチャの域を超えるクオリティの高さ、工芸品のような美しさ、クルマのスタイリングのようなカッコよさを追求し、世界屈指のモノを作り上げてさらに進化させていくべきではないかと。
ですから地球ゴマではなく、地球ジャイロ。異なる別種の製品として峻別していただき、地球ゴマとの違いを実感してもらえれば何よりです。
 
地球ジャイロを発表するにあたって、開口一番「高い!」といった率直な反応が返ってくるだろうことは当然予想されることでした。確かに、子どものオモチャとしてはそう手ごろな価格でないことも承知しています。「もっと安くできなかったのか?」と思われた方もきっと多くいらっしゃるでしょう。
ですが、安いモノならすでにアメリカ製や中国製などネットで手に入れられるわけですし、何も競合する同じ価格帯の分野(トイ)でクオリティを下げてまでしてやるよりも、最新鋭の機械設備を有する町工場ならではの本領発揮できる分野(ホビー)を新たに切り拓いていく方がはるかにチャレンジングで面白いと思い至ったわけです。

一見しただけでは気づかないですが、従来からあるジャイロゴマとは遊び方は同じでも構造がまったく異なります。外観はシンプルに見せつつ、目にすることのない内部機構においては精密部品がパズルのように組み合わさって仕上げられています。それらは熟練の技術者が丹念に一品一品手仕上げで組み立てているものです。
やはり原価もそれ相応にかかってきますので、「リーズナブル(妥当な・納得できる)」な価格になっています。もし当初から低価格を念頭に置いていたなら、地球ジャイロは誕生していなかったでしょう。
私どもが手本とするところは、ネフ社の木のオモチャです。確かな木工技術と手仕上げによる高品質ゆえに定評があり、世界中で愛されています。それほど安くはない価格であっても、ネフ社のこだわりあるモノづくりを知れば、それに見合った対価と受けとめることができます。

目指すべきモノづくりの流儀について、こんなふうに考えています。
子どもたちが最初に出会うジャイロスコープは、決して安直なマガイモノなどでなく、手間ヒマかけ贅を尽くした上質なホンモノこそを手にとってほしい。単に回して遊ぶだけなら安上がりなオモチャで十分用が足りるでしょう。ですがそれだけでなく、子どものうちから本格的なモノに触れ、奮い立つ感動を覚えることで、研ぎ澄まされた豊かな感性が培われていってくれるのを願うものです。
地球ゴマとはまさしくそういうモノでした。昔は子どもがお小遣いで買えないくらい高価な贅沢品だったとも聞かれますが、そこには紛れもないホンモノ感の手ごたえがありました。大人が本気でこだわって作り込んだモノであればこそ、子どもはそれに憧れ、触発されながら、また次代へと最高のモノを生み出していく力がついていくのです。
私どもは地球ジャイロを提供することでそれに応えようと思いますし、世界のどこにもない日本オリジナルのモノづくりの粋にぜひ触れてみてください。

最後に、この製品づくりに携わっていただいた関係者の方々に厚く御礼申し上げます。
ジャイロスコープの設計・開発から製造まで一貫して手がけていただいた関東の精密切削加工会社、見応えあるパッケージに仕立てていただいた宇宙に造詣が深い孤高の美術家、プロモーションをサポートしていただいた制作デザイン会社、浮遊感あるアコースティックな独自のサウンドを紡ぎ出すawamok、そしてパッケージ等の製造は関西の会社、アクセサリー類の製造は東海の会社、と言わばオールニッポンで取り組んだ成果が地球ジャイロとして結実しました。
これもひとえに関係者の方々のご厚意とご尽力なくして事を成し遂げることはできなかったでしょう。

「作り継ぐ」──次代へバトンをつなぐために。

 


 
 
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